コーポレートガバナンス・コードへの対応

コーポレート・ガバナンス報告書(2023年12月27日更新):https://www.kingjim.co.jp/ir/library/governance_report.html

コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示

原則1-4 政策保有株式
当社は、取引先との関係の維持・強化や事業運営上の必要性、経済合理性等を総合的に勘案し、中長期的な企業価値向上に資すると判断される場合のみ、政策保有株式を取得し、保有いたします。保有する政策保有株式については、毎年、取締役会で保有する意義を個別に検証し、意義が乏しいと判断される銘柄については、市場への影響等に考慮しつつ売却を行い、その結果、2015年より11銘柄を売却いたしました。
検証する方法については、2019年6月期より、個々の銘柄ごとに保有の便益(受取配当金や事業取引利益)と当社資本コストを比較して保有の経済合理性を検証するとともに、取引関係の維持・強化や事業運営上の必要性等を総合的に勘案して、保有の適否を判断しております。
政策保有株式に係る議決権の行使については、当社および投資先企業の中長期的な企業価値の向上を期待できるか否かという点等を総合的に勘案して、議案ごとに判断いたします。なお、当社は、株主価値を毀損するような議案については、肯定的な判断をいたしません。
原則1-7 関連当事者間の取引
当社では、当社と取締役との利益相反取引については、法令および取締役会規程に基づき、取締役会の承認および報告を要するものとしております。なお、全役員に対し、期末日において関連当事者間取引に関する調査を実施し、取引内容の把握、監視を行っております。
補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保
<多様性の確保についての考え方>
当社では、優秀な人材については性別・国籍・入社時期等の属性に依ることなく積極的に採用および登用する方針です。
業務内容や商品カテゴリーが多岐にわたる当社において、男性だけでなく、女性の戦力は重要と認識しており、多様性の確保としてまずは女性活躍の制度を整備し、女性管理職登用を推進しております。
<多様性確保の自主的かつ測定可能な目標と状況>
女性管理職については、現在の女性管理職比率は10.0%(8名/80名)となっておりますが、女性活躍推進法の趣旨も踏まえ、2030年にその比率を全体の20%に引き上げることを目標にしております。また、女性役員は、取締役が5名、監査役が1名、執行役員が1名選任されております。また、独立社外役員に占める女性の比率は71.4%(5名/7名)となっております。なお、新卒採用における直近5年間の女性の採用比率は50.0%の実績となっております。
外国人について、現在管理職はおりませんが、採用時や管理職への登用をする上で外国人採用枠は設けずに日本人と同一基準で選考・登用を行っており、今後もその方針を維持します。海外子会社では、取締役や、部長・課長相当の役職者として現地国籍の従業員を多く登用しており、今後も積極的な登用を進めてまいります。
中途採用者については、その管理職比率はすでに26.3%(21名/80名)と高い水準にあります。当社では、新卒採用・中途採用等の属性に依ることなく個々の能力によって活躍できる風土が社内に根付いているため、今後も実力次第での登用を行っていく方針です。
<多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針とその実施状況>
当社では、個々の社員が持つ能力を最大限に発揮できる環境の整備に努めております。
女性の管理職登用において、結婚・出産・育児を機とした退職による男女間の平均勤続年数の差異などを課題としてとらえ、取り組みを進めており、産休育休前・後面談、産休育休取得者へ会社情報メールの配信、産休育休から復帰までの社内制度・手続きをまとめた資料の提供等を実施しております。その他、人材育成・社内環境整備方針の制定、男性の育児休業取得の推進、障がい者雇用の推進、テレワーク勤務制度の導入等、多様性の確保に向けた取り組みを進めております。
すでに管理職向けの通信教育を実施しておりますが、今後は、女性・外国人・中途採用者の管理職登用促進のため、管理職候補者研修などの新制度の導入も検討してまいります。
原則2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮
当社は、企業年金制度として、確定給付企業年金と確定拠出企業年金の制度を導入しており、確定給付企業年金の年金資産の運用は、「年金資産の運用に関する基本方針」を定め、長期にわたり安定的な運用を目指しております。また、社内の担当部門において、各運用機関から四半期ごとに報告を受け、運用状況を適切に管理するとともに、資産運用セミナーへの参加等を通じて専門性を有する人材の育成に努めております。
原則3-1 情報開示の充実
ⅰ.経営理念、経営計画
経営理念、中期経営計画は当社ウェブサイトに開示しております。
・経営理念
ウェブサイト:https://www.kingjim.co.jp/company/concept.html
・中期経営計画
ウェブサイト:https://www.kingjim.co.jp/ir/management/strategy.html

ⅱ.コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、本報告書の「コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性その他の基本情報」の1.に記載のとおりです。また、現状のコーポレート・ガバナンス体制を選択している理由については、本報告書の「経営上の意思決定、執行及び監督に係る経営管理組織その他のコーポレート・ガバナンス体制の状況」の「3.現状のコーポレート・ガバナンス体制を選択している理由」に記載しております。

ⅲ.経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続
取締役(社外取締役を除く)の報酬は、固定報酬である基本報酬、業績連動報酬である賞与、株式報酬で構成されております。なお、社外取締役および監査役は、役割に鑑み、基本報酬(固定報酬)のみとしております。詳細については、本報告書の「経営上の意思決定、執行及び監督に係る経営管理組織その他のコーポレート・ガバナンス体制の状況」の「1.機関構成・組織運営等に係る事項」【取締役報酬関係】「報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容」に記載しております。

ⅳ.経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続
取締役・執行役員の候補者の指名を行うに当たっては、人格識見に優れており、担当した業務で実績を上げた人物、会社経営に精通した人物、専門性の高い人物を候補者としております。監査役候補者の指名を行うに当たっては、人格識見に優れ、専門性の高い人物を候補者としております。また、職務執行において不正、重大な法令違反または定款違反等があった場合は、解任いたします。
取締役会の諮問機関である「指名・報酬委員会」が当社の取締役、監査役および執行役員の選解任の候補者を検討の上、取締役会に提案を行い、取締役会で審議・議決された後、取締役および監査役の選解任の候補者については、最終的には株主総会に議案として提出された上で、決定されます。なお、監査役候補者の選任を行うに当たっては、監査役会の同意を得ております。

ⅴ.個々の選解任・指名についての説明
取締役・監査役候補の個々の選任・指名についての説明は、招集通知の選任議案に記載しております。
補充原則3-1-3 サステナビリティについての取り組み等
当社は、経営理念「独創的な商品を開発し、新たな文化の創造をもって社会に貢献する」のもと、経営戦略の遂行に努めており、サステナビリティ、人的資本・知的財産への投資、気候変動への対応について、以下の取り組みを行っております。

<サステナビリティについての取り組み>
当社はサステナビリティの向上を推進するにあたり、「キングジムグループサステナビリティ基本方針」を定め、当社ウェブサイトに開示しております。
ウェブサイト:https://www.kingjim.co.jp/sustainability/policy/policy.html

また、「キングジムグループサステナビリティ基本方針」に基づき、サステナビリティ向上のための取り組みを進めるため、部門横断的な組織であるサステナビリティ委員会を設置しています。委員会においてサステナビリティの方針や活動を立案し、各部門・グループ会社と連携してサステナビリティの向上を推進しております。
2022年に当社の経営理念およびサステナビリティの考え方に基づき、ESGの観点から当社の事業活動と社会課題の関連性が高い項目として、「独創的な商品の開発による社会貢献」「環境への配慮」「多様な人材の活躍推進」「ガバナンスの充実」の4つをマテリアリティ(重要課題)として特定し、これらに紐づく重要テーマを選定し、開示しております。
特定したマテリアリティ(重要課題)をSDGsと関連付け、マテリアリティ(重要課題)の解決に向けた取り組みを行っております。
有価証券報告書(第75期):https://www.kingjim.co.jp/ir/upload_file/m005-m005_02/75th_yuukasyoukenhoukokusyo.pdf 
ウェブサイト:https://www.kingjim.co.jp/sustainability/policy/materiality.html

<⼈的資本への投資>
当社は、多様な⼈材がそれぞれの能⼒を最⼤限に発揮できる環境の整備に努めており、テレワークや時差勤務、各種休暇制度や社員ひとりひとりの成⻑をサポートする⼈材育成制度を充実させております。また、中期経営計画において、成⻑分野に⼈的資本を配分して当該事業の拡⼤を図ることを掲げております。

<知的財産への投資>
当社は、ファイル依存の収益構造からの脱却を図ることを経営課題と捉えており、⽂具事務⽤品事業におけるキングファイル、テプラと並ぶ第3の柱の構築のため、新規事業と次世代商品の開発に積極的に投資をしてまいります。また、当社の強みである柔軟な開発体制により創出される独創的で多彩な商品群を権利保護するため、知的財産権の獲得を推進しております。

<気候変動への対応>
当社は、気候変動への対応を経営の重要課題の一つととらえており、2023年6月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。TCFD提言の枠組みに基づき、気候変動への対応について情報開示を行っております。
補充原則4-1-1 取締役会の経営陣への委任の範囲
取締役会は、社内規程(取締役会規程、職務権限規程等)に基づき、法令および定款の規定により取締役会の決議を要する事項、経営上の重要事項および重要な業務執行に係る意思決定を行うこととしています。取締役会から経営陣に対する委任の範囲は、職務権限規程、職務分掌表において定めております。
また、当社では、2003年より執行役員制度を導入しておりますが、コーポレート・ガバナンスの一層の強化、取締役と執行役員の職責・機能について再検討を行った結果、経営の意思決定の迅速化、業務執行機能の充実および取締役会の監督機能強化を図ることを目的に、2020年9月17日に執行役員制度を変更いたしました。執行役員は、当社および子会社を含めた業務の執行状況や重要事項を取締役会に報告し、取締役および監査役が監督・監査を行っております。
原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質
当社では、会社法上の要件に加え、東京証券取引所の定める独立役員の独立性基準を満たした社外役員の独立性に関する基準を定め、招集通知および有価証券報告書にて開示しております。
補充原則4-10-1 指名・報酬委員会の独立性に関する考え方・権限・役割
当社は、役員候補者の選解任および報酬に関する決定プロセスの客観性および透明性を確保するため、取締役会の諮問機関として、指名・報酬委員会を設置しております。当該指名・報酬委員会は、指名委員会と報酬委員会の双方に相当する機能を担う任意の委員会であり、年間で計5回ほど開催しております。
<指名・報酬委員会の権限・役割>
・指名・報酬委員会は、取締役会の諮問機関として、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役会に対し以下の事項の検討・提案を行います。
(1)取締役、監査役候補者の選任および解任に関する株主総会議案
(2)代表取締役社長候補者の選任および解任ならびにその後継者について
(3)前号以外の代表取締役候補者の選任および解任
(4)執行役員候補者の選任および解任
(5)取締役、監査役および執行役員の報酬等に関する方針
(6)取締役の報酬等の総額
(7)取締役、監査役および執行役員の個人別の報酬等
(8)前各号に関して指名・報酬委員会が必要と認めた事項
・指名・報酬委員会は、取締役会の委任を受け、取締役の個人別の報酬等(基本報酬および賞与に限る)の内容の決定を行います。
なお、指名・報酬委員会は、取締役、監査役および執行役員の候補者の選任、取締役のスキルマトリックス作成、後継者計画の策定等について、スキルやジェンダー等の多様性の観点を含め検討し、適切な関与・助言を行っております。
<委員会構成の独立性に関する考え方>
指名・報酬委員会は、取締役会が選定する取締役で組織され、構成は4名以上とし、そのうち半数以上は社外取締役とすることを指名・報酬委員会規則にて定めており、現在は、社外取締役3名(垣内惠子、廣川克也、岩城みずほ)および社内取締役2名(宮本彰、原田伸一)の計5名で構成されております。また、独立性を確保する見地から社外取締役垣内惠子を委員長としております。
補充原則4-11-1 取締役会全体の知識・経験・能力のバランス等、多様性および規模に関する考え方
取締役会は、経営の透明性の確保、めまぐるしく変化する経営環境の変化や多様性へ対応するために、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランスや多様性を確保するとともに、適切な規模を維持することとしております。
取締役の選任に関する方針・手続きについては、本報告書の【原則3-1 情報開示の充実】に記載しております。
また、当社は、指名・報酬委員会、経営会議、取締役会での議論を踏まえ、各取締役の主なスキル・経験・知識等を一覧化したスキル・マトリックスを作成し、招集通知に記載しております。
第75回定時株主総会招集通知:https://www.kingjim.co.jp/ir/upload_file/m003-m003_03/20230823ir_75syousyuuJ.pdf 

現在の取締役会の構成は、取締役を11名、監査役を3名とし、うち社外取締役が5名、社外監査役が2名であります。また、役員のうち女性の比率は42.9%(6/14名)であります。当社の業務、経営に精通した社内取締役と、弁護士、ファンドマネージャー、CFP、会社経営者、学者、弁理士、税理士など高い見識と豊富な経験を有する人材を社外取締役および社外監査役として起用しており、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランスや多様性を確保し、適切な規模を維持しております。
補充原則4-11-2 社外役員の兼任状況
取締役・監査役の兼任については、その役割・責務を適切に果たすために必要となる時間を取れる合理的な範囲に留めております。有価証券報告書等にその内容を開示しております。
有価証券報告書のうち、第一部第4の4をご参照ください。
有価証券報告書(第75期):https://www.kingjim.co.jp/ir/upload_file/m005-m005_02/75th_yuukasyoukenhoukokusyo.pdf
補充原則4-11-3 取締役会の実効性についての分析・評価
取締役会全体の機能向上を図ることを目的とし、2016年から計8回(毎年6月)、取締役会参加メンバー全員に対して取締役会の実効性に関するアンケートを実施しております。
アンケートを踏まえて、改善策を都度実施しており、以下の点から、取締役会の実効性は十分に確保できていると結論付けております。
・取締役会による経営・監督レベルについて、全回答者が肯定的な回答をしていることから、現在の取締役会による経営・監督のレベルは問題ないレベルと判断されること。
・取締役会の経営判断に係る質問について、殆どの項目で肯定的な回答をしていることから、取締役会はおおむね適正に運営されていると判断されること。
また、2023年に実施したアンケートにおける主な課題は次の通りです。
・次期の中期経営計画策定時には当社グループ全体の方向性を話し合うべき
・中期経営計画報告時に要約資料があると良い
・短期業績と対策、重要課題の進捗等のテーマを決めて議論する

それぞれの課題項目に対する改善策を検討し、着実に実施することにより、取締役会の実効性をさらに向上させ、コーポレート・ガバナンスの一層の強化に努めます。
補充原則4-14-2 トレーニング方針の策定
当社では、取締役・監査役による経営監督・監査機能が十分に発揮されるよう、適宜、社外の有識者による経営やコンプライアンス、あるいは特定分野に関する講演会への参加など、必要な知識を習得する機会を提供することとしています。また、社外取締役・社外監査役に対しては、社内会議への出席や、海外子会社や国内子会社を実際に訪問するなど、幅広く業務内容を習得する機会を提供しております。また、新任社外役員を講師とする勉強会を実施し、社外取締役・社外監査役が有する専門的な知識を社内で共有できるようにしております。
社外取締役・社外監査役については、就任時に、当社の経営戦略、事業内容、中期経営計画の内容などの理解を深めるために、社内の各部門長を講師とするセミナーを受講することとしており、また、取締役会での審議の充実を図るため、取締役会資料の事前配布・説明、関連情報の提供などを行っております。
原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針
当社では、株主との対話については、IRに関連する部門(総務部、経理部、経営企画部および広報室)が連携して取り組んでおり、管理本部長が、持続的な企業価値の向上のために、株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みを統括しております。
個別面談に加え、株主総会での質問・意見に対する丁寧な説明、年2回の決算説明(動画配信)での代表取締役社長による詳細な説明をはじめとして、機関投資家との対話の充実を図るほか、ウェブサイトや事業報告による情報発信を行っております。
また、IR活動を通して得られた株主・投資家からの意見や経営課題については、経営陣幹部に対して取締役会等で適切にフィードバックされたうえで、経営の質的向上に役立てております。
なお、対話に際しては、フェアディスクロージャールールに従うとともに、社内規程に基づき、未公表のインサイダー情報の管理を徹底しております。
【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については、統合報告書2023のうち、P.21-22 CFOメッセージをご参照ください。
統合報告書2023:https://www.kingjim.co.jp/ir/library/integrated_report.html