気候変動への対応

キングジムグループは、商品を供給する立場から環境への配慮を経営の重要課題としてとらえています。商品のライフサイクル3R【Reduce(削減)・Reuse(再使用)・Recycle(再資源活用・再資源化)】の視点を持ち、環境に配慮した技術・素材を導入することにより、環境への負荷をより低減したものづくりに取り組んでいます。
環境に関する課題として、気候変動への対応も経営の重要課題の一つととらえています。地球温暖化による気候変動は、当社グループと地球環境の持続性を脅かすリスクであり、当社グループのビジネス、お客様、サプライチェーンにも影響を及ぼしています。

2023年6月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。TCFD提言の枠組みに基づき、気候変動への対応について情報開示を行っています。
※TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)
G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立されました。TCFD提言では、企業・団体等に対し、気候変動関連リスクや機会に関する情報開示を推奨しています。
TCFD 公式サイト:https://www.fsb-tcfd.org/ (外部サイトが開きます)

ガバナンス

気候変動課題を含むサステナビリティに対する取り組みについては、2022年3月に策定した「キングジムグループ サステナビリティ基本方針」のもと、サステナビリティ担当役員を推進委員長とするサステナビリティ委員会において、各種方針や課題の解決に向けた詳細な目標の設定、それらを実践するための体制および具体的な施策を決定しています。サステナビリティ委員会における重要な検討・決定事項は、必要に応じて経営会議で事前に審議した上で、取締役会に付議・報告されており、経営における意思決定や取り組み状況に対する監督が適切に行われる体制を整備しています。

戦略

気候変動が及ぼす事業へのリスク・機会による中長期的な影響の把握、対応策の検討のため、売上高構成比の高い「文具事務用品事業」を対象に、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)やIEA(International Energy Agency)の報告書を参照し、シナリオ分析を実施しました。

●キングジムが考えるシナリオ
シナリオ
概要
2℃未満シナリオ 「産業革命以前と比較し、2100年までの地球の平均気温上昇が2℃未満に抑えられている世界」

・炭素税などのカーボンプライシングの導入、再生可能エネルギーへの転換など、各国の政策や法規制が強化される
・脱炭素社会への移行リスクが顕在化する
4℃シナリオ 「産業革命以前と比較し、2100年までの地球の平均気温が4℃以上上昇している世界」

・気候変動により異常気象の激甚化、慢性化が進み、原材料調達難や生産性の低下などの物理リスクが発生し、事業活動への負の影響が大きくなる
・新たな政策や法規制は導入されず、脱炭素社会への移行は進まずCO₂排出量は継続的に増加する
シナリオ分析の結果、政策・法規制の強化などによる「移行リスク」、異常気象の激甚化・慢性化による「物理リスク」ともに、事業・財務への影響が大きいことが判明すると同時に、事業拡大の「機会」も存在していることが明らかになりました。
それぞれの対応策を講じることで、気候変動リスクを低減し、成長のための機会を積極的に活用していきます。

●気候変動における事業リスクと機会、事業/財務影響への評価とその対応策

リスク管理

キングジムグループが留意すべき気候変動をはじめとする環境課題に係るリスクは、サステナビリティ委員会にて特定・評価し、対応策を決定しています。対応策は、各部門・グループ会社に展開し、サステナビリティ委員会がリスク状況のモニタリングを行っています。経営に重大な影響をおよぼす事象が発生するおそれが生じた場合には、直ちにサステナビリティ担当役員を通じて代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会に報告しております。報告を受け、リスクマネジメント委員会で対応を検討します。

指標と目標

気候変動への対応として、キングジムグループで特定したマテリアリティ(重要課題)「環境への配慮」における重要テーマ「CO₂排出量低減」の実行にあたり、下記の通りCO₂排出量(Scope1+2)を指標として低減目標を設定し、達成に向けて活動に取り組んでいます。
指標
対象範囲
基準年
2030年目標
2023年6月期実績
CO₂排出量
(Scope1+2)
キングジムグループ
2021年6月期
8,200t-CO₂
(基準年比30%低減)
9,255t-CO₂
●CO₂排出量推移(Scope1+2)
※一部の拠点において、集計誤りがあったため、2021年6月期と2022年6月期のCO₂排出量を修正しています。この修正による影響は軽微です。