そもそもこの本数のペンケースを立たせる必要があるのかどうか、ということは議論になったが、確かに寝ているよりは立たせておいた方が使いやすい。しかも、倒れずにしっかり立たせるということを特殊な吸着パッドやバネまで用いて実践している。開けやすい蓋や色なども含め、その執着とも思えるようなこだわりから出来上がった形態に対してシンプルに魅力を感じた。

シンプルな傾斜がついた形を反転することで「書く」と「見る」が機能的に使いやすく表されているデザインである。アナログとデジタルの中間の使い勝手が便利であり、直感的でちょうど良い。しかし電子ペーパーゆえの反応速度のタイムラグや机上にあるものとしての大きさなど、引っかかる点も同時に意見として上がったことは事実である。

一時的なメモという限られた機能だが需要が多くある分野であり、デジタルとアナログのどちらのメリットもちょうど良く達成した、ニッチであるが絶妙な立ち位置の商品である。デジタルだが液晶画面とは違う非常に直感的な書き心地、一瞬で簡単に消せるボタン、本体にセットされたペン、どれも使いやすく簡潔なデザインにまとめられている。思わず手に取って書いてみたくなる衝動が起こる、すっと腑に落ちるデザインである。

アルコール消毒自体の重要性はかなり認知され、施設や職場、一般家庭などにおいてディスペンサーを見かけることも多くなった。しかしこのように、空間に馴染むフォルムと、直接手で操作せずに使える機能が両立したものは、これまでほとんど存在しなかった。人目に触れやすい場所でも、より気軽に取り入れることができるこのような製品を通じて、アルコール消毒がより身近になり、社会へのさらなる啓蒙にもつながることを期待したい。

期限を忘れないためのカウントダウンと時間の経過を示すカウントアップと、時間の経過の視覚化に関する新たな発想に基づく製品である。使用者の行動を意識づける明快な示し方、上下反転可能なクリップなど、潔く単機能に特化したうえで全体が丁寧にまとめられている。小型サイズにおける形状のバランスや空間において過度に目立つことのないスモーキーなカラースキームなど、全体が美しくまとめられている。

本年10月31日(木)から東京ミッドタウン各所で開催される、最新のグッドデザイン全件が集まる受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2019」において、「カクミル」など今回受賞した全5製品が紹介されます。

GOOD DESIGN EXHIBITION 2019

会期:2019年10月31日(木)～11月4日(月・祝)
会場:東京ミッドタウン各所(東京・六本木)

• https://www.g-mark.org/gde/2019/index.html